アフィリエイト事業拡大に必要な技術~キックバック編

アフィリエイト事業を拡大させるためには、他社の運営するアフィリエイトサービスとの連携も手の一つです。 その際に必要になるのが「キックバック」と呼ばれる、成果を伝え合うための仕組み。 呼称や意味合いは時と場合そして人により異なるのですが、アフィリエイトシステムのとても基本的な仕組みです。 それでありながら実際の設定をしてみようとすると複雑で、アフィリエイトシステム『admage®』を提供している弊社へのお問い合わせの中でも特に多いご質問です。 今一度仕組みを整理してみましょう。

簡単なASP事業の仕組みと大変なこと

アフィリエイト市場における各種プレイヤーの関係性を極めて簡単に書くと下図の通りです。

  • ①ASPは広告を掲載する媒体であるサイト運営企業、広告案件をもつ広告主に営業をかける
  • ②サイト運営企業はASPにサイト上の広告枠を提供、広告主はASPに広告案件を提供
  • ③ASPは保有する広告案件を保有するサイトへ配信
  • ④広告をクリックしたユーザーが成果を発生させたら報酬を支払う

とてもシンプルなアフィリエイト事業のモデルですが、ここでこのASPが懸念点として抱えることは「営業コストがかかる」ということです。

ASPとしての価値を高めるために必要になるもの

広告の配信先となるサイトを多く抱えるASPは、広告主からすると、より多くのユーザーに自社の広告を見せられるチャンスがあるため魅力的です。また、逆も然りです。 ただ、前述の通り、より多くのサイト運営者や広告主とつながれるよう営業活動をする、ということは組織体制にもよりますが非常にコストがかかります。 そのため他社が運営するASPが所有する配信先もしくは案件とつながることができれば効率的です。営業活動をしなくとも、ASPとしての価値を高めることが可能となります。 他社の運営するASPから配信先や案件を融通してもらうためには、”キックバック”という仕組みが必要です。

”キックバック”とは

弊社では、“キックバック”とは、「成果が上がったことを広告主やその仲介会社から教えてもらい、自社で把握する仕組み」のことを指します(もしかしたら”ポストバック”の方が一般的な言い方かもしれません)。

なお、“キックバック”と調べると、「日本独特の商慣行である割戻し制度」「仕入割戻」「リベート」といった意味が出てきます。

お客様からのお問い合わせ等を拝見してみると、同じ意味でも呼び方が異なったり、同じ言葉でも意味するものが少し異なったりするのもあり、厳密な定義はなさそうです。

キックバックと関連する用語は下記の通りです。

  • ポストバック
  • 成果通信
  • 連携
  • 繋ぎ込み
  • ポイントバック

これらがアフィリエイトの成果について言及するときに良く使われていると筆者は感じています。

キックバックの流れ~ユーザーの動きに沿って

まずはキックバックの流れを、広告を見るユーザーの動きに沿って、とてもざっくりではありますが見ていきます。 図中のX社が運営するASPの立場になって説明します。

【他社が運営するASPから広告を仕入れる場合】

※リダイレクト:自動的に転送すること

ユーザーがA社運営サイトの広告をクリックすると、X社運営ASPからY社運営ASPを経由して広告主のページにたどり着きます。 この場合、X社では広告主であるB社と直接やりとりができないため、A社の広告をクリックしたユーザーがB社の商品を購入したかどうか(成果)を把握することができません。 そのためY社運営ASPから成果情報を伝えてもらう必要があります(成果を返す、とも言います)。

【他社が運営するASPへ広告を卸す場合】

先ほどとX社とY社の立ち位置が変わります。 この場合、X社では広告主であるB社と直接やりとりができるため、成果を把握することが可能です。 その代わりY社へ、Y社経由できたユーザーが成果につながったことを伝えてあげます。

以上が簡単なキックバックの流れです。 この裏側がどうなっているのか、当社のアドテクエンジニアの目線から解説した記事がこちらです。

アフィリエイト広告のキックバックの仕組み

ただエンジニアではない筆者には少々難しく感じてしまったため、これから噛み砕いて説明していきます。

キックバックの仕組み

まずはこれまで説明した流れを実現するために事前に各プレイヤー(広告主、ASP、サイト運営者)が行っていることを簡単に図式化します。 これはY社運営ASPより広告を渡してもらうパターンを示しています。

※パラメータ:URLの後に続く「?」以降の文字列のこと。変数とも言う。
  • ①広告主であるB社は、広告クリック後遷移するページ(LP)をY社運営ASPに入稿
  • ②Y社運営ASP上で計測のためURLを変換し、パラメータを付与
  • ③変換されたURLをY社から受け取り
  • ④Y社同様URLを変換しパラメータを付与
  • ⑤A社運営サイトに入稿

これでキックバックができるよう広告が入稿されました。 これをユーザーの動き(=広告クリック後成果が発生する)に沿って見てみます。

  • ①ユーザーが広告をクリック
  • ②X社が運営するASPにリダイレクト
  • ③X社内で、この広告をクリックしたこの人、という形で記録
  • ④Y社が運営するASPにリダイレクト
  • ⑤③と同様にY社内で記録
  • ⑥広告LPにリダイレクト
  • ⑦成果発生
  • ⑧B社からY社に成果情報が送られる ※事前に広告主の成果達成ページ(サンクスページ等)にB社のタグが挿入されているため成果情報が送られる。
  • ⑨Y社は成果情報と⑤を突合せ成果発生を確認
  • ⑩Y社がX社に成果情報を送る
  • ⑪X社で③と突合せ成果発生を確認
  • ⑫必要であればサイト側に成果情報を返す

よく、広告をクリックしたあと、ページ読み込み中にURLが色々と変わったりすることがあるのは、複数のASPを経由しているから、ということがわかりますね。 上記を把握した上で、キックバックを行うときに必要になるやりとりとしては、下記のような内容が考えられます。
※こちらは使用システムや連携するシステムによっては異なる可能性があるため確認が必要です。

【他社が運営するASPから広告を仕入れる場合】

  • 1)Y社運営ASPとのやりとり
  • ・広告のURLを教えてもらう
  • ・Y社から成果情報を送ってもらうときにどう送ってもらうかを決定。URLの変換の仕方やパラメータの付け方等を決める。
  • 2)サイト側とのやりとり
  • ・(Y社からもらう広告のURLを変換した上で、)A社に入稿をしてもらう広告のURLを渡す
  • ・(成果を返す場合、)成果情報をA社に送るときに、どこに送るのかを決定。URLの変換の仕方やパラメータの付け方等を決める

【他社が運営するASPへ広告を渡す場合】

  • 1)広告主B社とのやりとり
  • ・広告のURLを教えてもらう
  • 2)Y社運営ASPとのやりとり
  • ・(広告主からもらう広告のURLを変換した上で、)入稿をしてもらう広告のURLを渡す
  • ・成果情報をY社に送るときに、どこに送るのかを決定。URLの変換の仕方やパラメータの付け方等を決める。

この作業ですがURLの変換等、慣れていないととても難しく、「このパラメータで合っているのか」「こういうデータも送って欲しいがどうしたらいいのか」といったご質問をいただくことが多くあります。 お客様や連携先のシステムによって対応が異なる場合が多く、なかなかサポートページでもお伝えしにくいというところが本音ではあります…。

最後に

最初にお見せした上図のようにシンプルなモデルのアフィリエイト事業を行うのであれば、実は、アフィリエイトシステムでなくとも効果計測ツールで運用が可能です。 ツールの価格としても廉価なものが多いためコスト面でも申し分ないと考えられます。

ただ、他社の運営するASPと連携となると、これまでお話してきたキックバックの仕組みがないとビジネスとして成立しなくなるのでツールの見直しが必要になる場合が出てきます。 今回はキックバックのお話をいたしましたが、アフィリエイトシステム独自の技術的な仕組みは他にもあります。 キックバックの実装にとどまらず、更に効果計測方法(例えばLTV計測等)や配信方法等をブラッシュアップさせ独自のアフィリエイトに関するビジネスモデルを構築するのであれば、そういった構想に柔軟に対応できるようなシステム導入がおすすめです。

弊社の提供する総合広告配信システムadmage®のアフィリエイトモードでは、今回お話したキックバックはもちろんパッケージプランでも実装していますし、お客様の事業構想に合わせて柔軟にカスタマイズをすることも可能です。 ぜひお問い合わせください。