広告システム開発は内製かアウトソーシングか、そして第3の選択肢とは(後編)

前編と後編に渡ってお届けする「広告システム開発は内製かアウトソーシングか、そして第3の選択肢とは」。前編では広告システム開発のメリットとデメリットを解説しました。
前編はコチラです↓

『広告システム開発は内製かアウトソーシングか、そして第3の選択肢とは(前編)』

後編では広告システム開発の特殊性と第3の選択肢としておすすめしたい「半内製」についてお話していきます。

理想は内製

結局内製とアウトソーシングどちらがいいのでしょうか。

これは企業により様々な選択があるかと思いますが、理想的な形としては内製であると筆者は考えます。 人・時間・予算が自社完結し、コントロールできるということが内製の魅力ですし、システム障害や情報漏洩のリスクが社外にある状態を防げることも可能だからです。

開発を請け負う会社に勤める者が内製を推してしまったらだめじゃないか、と思われたかもしれません。 しかし広告システム開発の観点から見てみると、内製したくとも現実的には厳しい理由があります。

広告システム開発の特殊性

弊社のお客さまを見ていると、システム開発から運用まで内製で対応していると世間的に認識されている会社様ともお取引があったり、過去に内製に失敗された会社様もいたりと、実際の現場では内製が厳しそうである、ということがわかります。

なぜ広告システムの内製は難しいのか、内製を阻む要因として以下のような広告システム開発の特殊性が考えられます。

開発にあたり必要となる知識の幅広さ

広告システムの開発の際に必要とされる知識は幅広くあります。 詳細は省略してしまいますが、エンジニアには様々な分野の開発スキルがあり、一般的には分野ごとに担当や部署が分かれていることが多いようです。 広告システムはそれら分野をまたいだ開発知識が必要となるため、内製するとなると、部署をまたいだチームの作成、もしくはジェネラリストかつスペシャリスト的なエンジニアの存在が必須となります。

最近はAIを利用した広告システムも多く、こういった最新技術への理解も必要とされてきていますよね。 また、多分野にわたる開発知識のみならず、広告運用の知識も必要です。広告業界特有の用語ももちろんですが、実際にシステムを触る人間(広告運用に携わる人間がほぼだと考えられます)が普段どんなことを考えてどんな業務をしているのかといった点への理解も開発にあたっては必要となります。 エンジニアとしての知識があっても顧客のビジネスモデルや業務プロセスへの理解が無いと実際の開発に活きないというわけです。

事業展開の速さ

広告業界の事業の移り変わりは他業界に比べとても速いです。 インターネット広告費は前年比116.5%となる等市場の成長ペースを見れば一目瞭然です。

電通『2018年日本の広告費』

そういったビジネスの展開の速さに見合うシステム開発が求められるため、それに見合うスピード感をもったエンジニアが必要とされています。 開発費の見積もりの際に使うエンジニアの作業量をあらわす単位として、人月(1人が1か月働いた作業量を1とするもの)ではなく、人日(1人が1日に働いた作業量を1とするもの)がよく使われることからも、求められているスピード感が伝わります。

このように幅広くかつ高度な知識が必要となる一方で、スピード感も求められる世界なので、企業の規模にもよりますが、体制作りや人材の確保が難しいのが現実です。

システム開発会社をグループに抱えて内製と変わらない体制を作れる大規模な広告代理店もある一方で、代表取締役もいわばプレーヤーとなって事業展開を進める小規模な広告代理店も多くあるということを考えると、やはり内製のハードルは高そうです。

弊社のお客さまの中には、新規事業に内部のリソースを充てるために既存事業を一部アウトソーシングしたり、逆に新規事業を波に乗せるために弊社の技術力を活用すべくアウトソーシングしたりと、適宜アウトソーシングを利用しているお客さまも多いです。

「内製」「アウトソーシング」に続く第3の選択肢としての”半内製”

広告システム開発の内製を阻む壁をご説明しましたが、広告システム開発はアウトソーシング一択である、というわけではありません。

筆者としては「半内製」という考え方をおすすめします。 これは筆者独自の表現ですが、「アウトソーシングでありながら内製であるかのような開発が実現できるシステム開発会社を選ぶ」ということを表しています。

これは弊社のシステム開発の強みに通じる部分でもあります。 このようなシステム開発会社に必要な条件としては、

  • ①優秀なエンジニアを抱えていること
  • ②知見と実績があること
  • ③スピード感があること
  • ④コミュニケーション能力の高さ
  • ⑤対応力の高さ

が考えられます。

①優秀なエンジニアを抱えていること

これは前述の内製を阻む要因で触れたように、エンジニアとしての幅広い業務知識のみならず、広告運用というまた異なる分野の知見もあるエンジニアを抱えていることが必要ということです。

②知見と実績があること

広告システムの技術の進歩はめまぐるしく、ビジネスモデルも様々あるので、そこに耐えられる知見と、対応力を現す実績数がある開発会社は信頼に足ります。

③スピード感があること

①②を基礎として成り立つのがこのスピード感です。 広告業界のビジネス転換の速さに対応できる開発体制なのか、ということもとても重要です。

④コミュニケーション能力の高さ

実際にどんな人間が窓口に立つのか、見極めることも重要です。広告業界は専門用語も多いので共通の認識を形成しやすいか、共通の温度感を持ってくれそうか、という観点も大事です。

⑤対応力の高さ

広告に関するツールの有無、ツールがあるのであればカスタマイズの可否、ツールをベースとしないゼロベースでの広告システム開発が可能かといったような観点から、開発形態の展開領域を見ることもできます。幅広く対応していれば要望に対して柔軟に対応してもらえることが予測できます。

ここで弊社の開発体制について述べると、月額定額制のツールとしてadmage®という総合広告配信システム(カスタマイズも可能)を提供する傍ら、ゼロベースからの広告システム開発も得意としています。

また、担当のエンジニアが直接お客様の対応をすることがほとんどですし、広告システム開発に特化したエンジニアであるため、広告事業の最前線にいらっしゃるお客様とも共通認識を形成しやすいという強みがあります。

弊社の開発体制に対して、「社内にいる人間と一緒に作っているような一体感がある」というような評価をいただくこともあります。

弊社導入事例:株式会社ディー・エヌ・エー様

まとめ

以上2回に渡って、内製とアウトソーシングのメリットデメリット、広告システム開発の特殊性、第3の選択肢としての「半内製」についてお話をしてきました。

記事内でも触れたように内製であれば人・期間・予算がコントロールできるのでシステム開発やその先の運用を考えたときにはとても理想的です。 ただ、事業のロードマップを引くことの難しさや広告システム開発の特殊性を考えると内製のハードルの高さを感じざるを得ないのが現実です。

そこでアウトソーシングを検討する際に、要件だけ決めてあとは全てアウトソーシング先に任せる、というようないわば「手を離す」アウトソーシングも良いのですが、柔軟に対応ができ、「社員がリモートワークで開発をしている」と言っても過言ではないほど開発者と依頼者の心理的距離の近い「半内製」というアウトソーシングスタイルもおすすめです。 「内製は厳しい、アウトソーシングしよう」とお考えの際には、”アウトソーシング先との距離感”もぜひイメージしてみてください。

また、ゆくゆくは内製を目指したい、というご要望についてもコンサルのような形でお取組みができるかと思いますのでぜひご相談ください。