今からでもざっくり追いつけるITP

2019年5月23日

簡単に『ITP』とは?

『ITP(※)』とは、米アップル社により開発されたWebブラウザ「Safari」に搭載された、サイトトラッキング(複数のサイト間でユーザーを追跡すること)を制限するセキュリティ機能のことを指します。ユーザーの知らぬ間にユーザー情報が使用されないよう制御することが目的です。

※ITP = Intelligent Tracking Preventionの略

2017年にITP1.0が発表されてからアップデートを繰り返してきており、2018年にITP2.0、2019年3月にはITP2.1、そして時期を開けずして翌月4月に最新版ITP2.2が発表されました。ITPはcookieを元にしたWeb広告の配信や効果計測に大きな影響を与えるため広告業界の注目を浴びています。

本記事では「ITPって最近騒がれているけどいまいちよくわからない」「とりあえず全体像を知っておきたい」「今更ITPが何かなんて誰にも聞けない」方に向けて、5つのステップに分けてお話していきます!

  • STEP1. ITP最低限抑えておきたい5つの要素
  • STEP2. ITPの目的を抑える
  • STEP3. ITPってどんな内容?
  • STEP4. ITPによる影響
  • STEP5. ITPどんな対応が必要?

STEP1. ITP最低限抑えておきたい5つの要素

  • ①目的は「ユーザーのプライバシー保護」
  • ②Web広告の配信と効果計測への影響が大きい
  • ③Safari上の話
  • ④cookieを制限するもの
  • ⑤アップデートを繰り返している(=今後も要注意)

ここを抑えていれば基本的な理解はできていると言ってもいいでしょう!

STEP2. ITPの目的を抑える

Safariの開発者のブログから察するに、ユーザーの知らないところでユーザー情報が使われていることを制限するためにITPの実装に至ったようです。

確かに過去に検索したものが別のサイトを見ていたときに広告として出てきた、なんてことは日常茶飯事です。 とてもマイナスに捉えれば「つけられている感」を感じるときもありますよね…

こういった広告は「リマーケティング(リターゲティング)」と呼ばれ、一度サイトを離れてしまったユーザーに対して再度訴求することで思い出してもらえるというメリットがある反面、ユーザーによっては「しつこい」「不快」といった印象を与えうるデメリットも秘めています。

直近では、Googleでもユーザーのプライバシー保護に関してcookie(詳しくは後述)の機能制限を発表しました。

サイト上でどのようにcookieが使用されているのかについての透明性の向上と、ユーザー側でcookieをプロックするかどうかを選択できるような新機能を近々発表するようです。

2018年に施行されたGDPR(※)なども考えると、個人データの扱い方に敏感になっている雰囲気がありますね。

※General Data Regulationの略。EU一般データ保護規則とも言う。『個人情報保護委員会』のサイトによると、「EU域内の個人データのEU域外への移転について規定するもの」。

STEP3. ITPってどんな内容?

前述のようにITPはユーザーの知らないところでユーザー情報が使われていることを制限するために実装されたわけですが、実際にどのように保護をはかるかというと、「cookie」に制限をかけています

cookieとは簡単に言ってしまえばユーザーのデータを一時的に保存する場所のことです。 詳しい解説は過去のブログにもありますのでご覧ください。

例えばある通販サイトにあなたが訪問すると、通販サイトからcookieが付与されます。そのcookie上に、どんな商品を見たのかといったサイト内の行動データを保存していきます。 ログイン情報(アカウントIDやパスワード等)を毎回入力せずとも保存されているのはこのcookieのおかげということです。 このcookieは広告配信やその効果計測の時にも使われていて、ITPはこの時のcookieを制限する、という内容になっています。

この制限がどれほどの打撃があるものなのかを把握するためにも、広告配信と効果計測においてcookieがどう働き、どれくらい重要な役割を担っているのかを図とともにお話していきます。まずはcookieを使った広告配信の例としてリマーケティング広告を見ます。

リマーケティングにおけるcookieの役割図

リマーケティングタグが挿入されたサイトを閲覧したユーザーにアドサーバーがcookieを付与し、後日別のサイトを見ているときにそのアドサーバーから広告配信をします。このアドサーバーはユーザーが閲覧したサイトとは別ドメインを保有しているため、「サードパーティcookie」と呼ばれます。

ユーザーが閲覧したサイトから付与されるcookieは「ファーストパーティcookie」と呼ばれます。

次にcookieを使った広告の効果計測の一例であるアフィリエイト広告の場合でもcookieの働きを見ていきます。

アフィリエイト広告におけるcookieの役割図

ユーザーがアフィリエイト広告をクリックするとその広告を配信しているASPがcookie(サードパーティcookie)を付与します。 ユーザーがASPを経由して広告主サイトへ遷移後、商品を購入するなどして成果を発生させた場合、そのユーザー情報は広告クリック時に付与されたcookieに書き込まれます。これでサイトに訪問したユーザーと広告主サイトで成果を発生したユーザーとが合致するため、ASPは広告主から受け取った報酬から手数料を引いてサイト側へ支払います。

このように広告配信や効果測定におけるcookieの役割は多く、このcookieに制限をかける、というのは影響が大きそうです。 具体的にどのように制限をかけるのか、ここでこれまでのアップデートの内容を簡単に見ていきます。

  • ・ITP1.0(2017年)…サードパーティcookieの有効期限を設ける
  • ・ITP2.0(2018年)…サードパーティcookie発行後、即廃棄する
  • ・ITP2.1(2019年)…ファーストパーティcookieに7日間の有効期限を設定
  • ・ITP2.2(2019年)…ファーストパーティcookieに1日間の有効期限を設定

アップデートの変遷を見てみると、cookieを無くしたいと言わんばかりの制限をかけてきています…。 特にITP2.1から2.2の間は1ヶ月と短期間でアップデートが繰り返されてきているため、今後の動向から目が離せません。

STEP4. ITPによる影響

最新版のITP2.2ではファーストパーティcookieの有効期限が1日とされているため、リマーケティング広告が上手く機能しない場合がでてきます。 特に検討期間が長期にわたる商材や定期購入商材についてはある程度期間をあけて再度訴求をするのがベストですが、cookieの有効期限が1日となると厳しいものがあります。

アフィリエイト広告で言えば成果情報とユーザー情報とが結びつかず報酬の根拠とならない、といった事象もでてくるかもしれません。このように機会損失の懸念があるという影響から事業そのものに影響を与えるというレベルまで影響の幅はあります。

とはいっても使用ブラウザがSafariの時だけじゃないかと思われたかもしれませんが、こちらをご覧ください。

デバイスの使用割合の調査を見てみると、デスクトップではsafariの使用割合は少ないものの、モバイルとなると使用割合がぐんと高くなります。

Androidの使用率がiPhoneの使用率を上回ったという調査結果も出てはいますが、それでも普及度合を考えると、ブラウザが限られるとはいえあまり無視はできない影響の大きさだと筆者は考えます。

STEP5. ITPどんな対応が必要?

広告収入を得る側であるサイト運営者等は場合によってはGoogleアナリティクス等の設定変更が必要になるとのことです。

一方、広告主や広告主から案件を仲介する広告代理店、広告配信をするアドテク会社が特に対応が必要になると考えられます。 リマーケティング広告の出稿に重きを置いている広告主や広告代理店は各種配信プラットフォーム側の対応を待つ、もしくはリマーケティング広告以外の手法での広告出稿を検討するのも有効かもしれません。 またアフィリエイト広告については、現在各ASPが対応に追われており、ITP関連のプレスリリースも多く目にします。 ITPの目的を理解してそれを汲み取った対応をすることが大切そうです。

まとめ

今回はITPについてざっくりとお伝えいたしました。 詳細についてや引き続きあると予想されるアップデート情報など、Safariの開発者ブログを中心にキャッチアップをしていきましょう。

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