アフィリエイトシステムを選定する際には、機能以上に技術サポートや拡張性が重要です。極論を言えば、広告のURLや画像、単価などの広告情報を集約し、広告媒体の管理や配信・計測ができれば、アフィリエイトシステムとしての最低限の役割を果たすことができます。しかし、システムが成長するビジネスに追いつけないと、運用が非効率になり、長期的にみて広告主やメディアとの関係にも良いとは言い難いでしょう。
アフィリエイトシステムを利用していると、他社のアフィリエイトシステムと連携しなければならないことが頻繁にあります。これは、非技術者にとって簡単ではありません。システムの連携には、リダイレクト設定や成果のキックバック設定が必要となります。
アフィリエイトでは、リダイレクト時に広告をクリックしたユーザーの情報を受け渡したり、成果が発生した際にはその情報をキックバックしてあげたりすることで、システム間の連携が成立し、広告の配信から成果計測までを可能にしています。この一連の流れや必要な設定を理解するには、アフィリエイト広告の商流の理解に加えて、広告配信やデータ通信などの技術に習熟している必要があります。つまり、広告運用とは異なる知識が必要なのです。
広告システムに関する情報はWeb上にも少なく、技術的にはニッチな分野です。こうした理由から、アフィリエイトシステムの運用には広告に詳しいエンジニアによる技術的サポートがあることが望ましいです。
システム間の連携は一度手順を覚えてしまえば良い、というものでもありません。 システム間連携は広告の案件ごとに行うため、頻繁に発生する作業です。加えて、連携先や広告案件によって設定の仕方も異なります。また、連携先のシステムで仕様の変更があった場合にも、対応が必要です。
当社がお客様をサポートさせていただく中で、特に多いのが、このシステム連携に関するご相談です。広告の運用に集中したくても、システムの運用に手を取られてしまうことが少なくありません。システムの導入がかえって非効率性を招くことがないように、導入するシステムの開発元が十分なサポートを提供しているかは、重要な選定要素でしょう。
アフィリエイトシステムは、アフィリエイト事業の基盤となるシステムです。そのため、事業の成長にあわせてシステム側に要求する機能・仕様も増えて（変わって）きます。
当社でも、導入当初は運用でカバーしていた作業を、システム側に機能として組み込みたいというご要望をいただくことは少なくありません。また新しく取引を開始した広告主から、今まで計測していなかった指標を求められている、新しいレポート画面を作ってほしい、といったご相談は、長くご利用くださっているお客様ほど多く頂いています。
また、近年はメディアを運営している企業が、メディアに掲載する広告の管理のためにアフィリエイトシステムを導入した後、新たにASPとして事業化したいとお考えになることも多いです。こうした場合には、今まで使っていたシステムの権限に加えて、ASPとしての顧客（つまり広告主や他社メディア）用の権限が必要です。これはちょっとした画面改修では解決できず、システムとして元々の設計思想にも関わってくる問題です。
その他にも、たとえば広告配信先のメディアごとに異なるレポート形式が必要になったり、広告効果測定指標の追加を要求されたり…と、取引先が拡大するにつれて、カスタマイズを求められることも増えていきます。
そのため、導入するシステムがどこまでを想定しており、どんな拡張が可能なのかを、そのシステムのカスタマイズ実績などで把握しておくことが重要です。管理画面のUIやデザイン（いわゆるフロントエンド部分）だけではなく、このような目に見えないシステムの設計や拡張可能性にまで目を向けて選定すべきでしょう。
システム全般にあてはまることですが、特にアフィリエイトシステムはリプレイスに伴う作業が膨大です。
アフィリエイトシステムの場合、自社内の他のシステムとの連携だけでなく、他社のシステムの連携も発生します。更に、広告を掲載しているメディアに広告タグやURLなどの貼り替えも依頼しなければならず、広告代理店を経由している場合はさらに複雑な調整ごとが生じます。
当然、新システムによる運用に慣れる期間は作業効率が落ちてしまうことも考慮しなければなりません。広告主やメディアに管理画面を公開している場合は、新しい操作や仕様を教える期間も発生します。このような事情から、リプレイスしたくでも踏み切れないケースは少なくありません。
これから新たにアフィリエイトシステムの導入を検討している場合は、機能だけではなく、導入後の運用イメージや、事業成長にあわせた拡張という視点で選定してみることをおすすめします。
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